道端で出会った珍妙な人々 

変な人に遭遇するのは何も映画館だけでは
ありません。

少し前、私が道を歩いていると進行方向で
謎の踊りをしている、私より10以上は年上っぽい
おばさんを見かけました。

身なりも一見普通の人のようで、
そこがかえって変な動きとのギャップがすごい。

(目を合わせないようにしよう……)

すばやく通り過ぎようとしてふと、おばさんの肩の
辺りにカマキリが乗っていることに気づきました。

おばさんは明らかに嫌がっており、
それで振りほどこうと身をよじっているようです。

「……取りましょうか?」

おばさんが必死に頷いたので、指先でちょいと
摘んで茂みに降ろすと、
おばさんは無言で立ち去っていきました。

恥ずかしかったんだろうと理解はできますから
礼を言えとは言いません。

しかし嫌いなカマキリを延々肩に乗せて
道端で踊るような動作をするくらいなら

一気にむんずと引っつかんで引き剥がした
方がマシではないだろうか……?

これは私が虫がそれなりに平気だから
言える意見でしょうけども。

 

しかし最大級の変な人はある春先に駅前で見た

「ぼくはどうしたらいいんでしょう?」と
私に尋ねた若い男性でしょう。

「周りに迷惑をかけない範囲で
好きにしたらいいんじゃないですか」

わりと真面目に答えてしまいましたが
あれは何だったんだろう?

本当に困っていたのなら怪しい宗教関係に
引っかかったりしませんようにと願いますが、

もしかしたら何かの心理学実験かも……?

後者なら、迷える若者はいなかったことになるので
できれば後者であってほしいものです。