春が近づくと思い出す昔話

大分前の話になりますが、私が某所で
一人暮らしをしていた頃のお話です。

ある日「隣の者です」と
若い女性が訪ねてきました。

女性「わぁ、センスのいいお部屋ですねぇー!」

私「え……?いや、散らかってまして……」

急いで出たので玄関から部屋の中が見えてましたが
しかし丸見えというわけではなく、一部のみ。

女性「それに、センスのいい音楽がよく聴こえてきますし」

私「すみません、うるさかったですか!?」

女性「いいえ全然ー。センスいいなって」

私(さっきからそればっか言ってるなこの人……)

親しげな口調ではあるんですが、こっちを全く見ないで
「陽気な人」の台詞を言ってるような違和感がありました。

何かおかしいと思ってたら笑顔で一言。

「私、そろそろ死にたくなると思うので
異変があったら警察呼んでくださいね♪」

明るく言い残して女性は去っていきました。

しかしその後何事もなく、いつの間にか部屋の住人が
変わっていたというオチ。

何だったんだよ本当に……。

春が近づくと思い出す、珍妙な出来事でした……。