映画『jam』感想 その2(ネタバレ注意)

前回「ヒロシ」の話をしたので今回は
「タケル」と「テツオ」のことを語ります。

タケルは逃走中の強盗の撃った流れ弾に被弾し
植物人間状態になった恋人を献身的に支え、

彼女が目を覚ますと信じて善行をする
好青年……

それで間違ってはいないんですが、何かがおかしい。

いいことをするため、常にきょろきょろしながら
車を走らせ、

落ちた洗濯物のブラジャーを平然と拾い上げたり、
泣いている女の子を車に乗せようとして
変態呼ばわりされたりと

空回りを通り越して何かこわい。

一服盛られて倒れたヒロシを、和製ミザリー
希望通り、あやしむことなく彼女の家に運んだのも

地獄への道は善意で舗装されている」という
皮肉を連想させます。

そして「テツオ」と復讐相手のヤクザたちこそ、
タケルの恋人を撃った強盗団の一味でした。

ヤクザたちはテツオから「一日三善」の話を聞いて
(彼女の昏睡状態の原因は語っていない)

「もう悪いことやめようか……」と言いながらも
テツオに犯罪の片棒を担がせようとしたりと

矛盾だらけな言動を取りますが、それがかえって
妙な人間臭さを生んでいます。

「テツオ」はアクションパート担当と断言できるほど
彼が登場するとバイオレンスアクションが繰り広げ
られます。

もの言わぬ復讐者なのに、車イスのお祖母ちゃんだけは
大事にしています。

ヤクザたちがお祖母ちゃんは人質に取らないのは
不思議ですが、上記のごとく変な人情味なのかも。

畳み込むようなノンストップアクション時々ホラーと
言うほかない、見事なエンターティメントですが

ためらいなく他人にハンマーや鉄パイプを振り下ろす
シーンが多数あるため、暴力描写が苦手な方には
オススメできません。

なお、オチで詳細は語られないので
「この人結局どうなったの?」は想像に
任せる方向です。

それはいいけど「エピローグを〆るの
お前かい!?」とはツッコんでおきます。

※エンドロールが流れ終わるまで
絶対に席を立たないでください。